新型コロナウィルスワクチン「mRNA-1273」って何?
バイオベンチャーのモデルナは世界最速で開発されているというワクチン「mRNA-1273」の初期治験で有望な結果を得られたと発表し、昨日の米国市場で好感された。
治験結果は、フェーズ1の治験に参加した8人の被験者の血液に中和抗体が検出され有効性が示されたという内容。
一方、Grade 3(生命に危険を及ぼすほどではないが重大)の副作用を3件報告しており、フェーズ2などで治験者が増えた時の安全面での懸念は残る。
※副作用Gradeの解説
https://www.biooncology.com/clinical-trials/safety-endpoints.html
問題なく、治験が進めばフェーズ3は7月に開始予定であり、3月時点では秋口までのワクチン提供を目指していると言う。
モデルナはハーバード大学でデリック・ロッシ博士(TIME誌の2011年で最も影響力のある100人にも選出)らが開発したmRNA(メッセンジャーRNA)のバイオベンチャー企業。
http://content.time.com/time/specials/packages/article/0,28804,2066367_2066369_2066502,00.html
mRNAとはたんぱく質を作るDNAからの情報を伝達するリボ核酸。
出所:川崎市産業振興財団
https://iconm.kawasaki-net.ne.jp/pdf/NanoSkyvol6.pdf
mRNAワクチンとは一般的な不活化ワクチンと異なって、迅速につくれるというのが特徴で、臨機応変にmRNAの配列を変えることで個別化医療にも対応出来ると言う。
一般的な不活化ワクチンが感染能力を不活化した病原体を原材料としてワクチンを注入するのに対し、mRNAワクチンはウィルスの設計データであるRNAを注入することで体内にウィルスの一部を生成させて免疫を得るという違いがある。
出所:田辺三菱製薬
https://www.wakuchin.net/about/type.html
新型コロナウィルスのワクチン早期完成の可能性は朗報だが、ワクチン提供が始まったとしても直ぐには世界中には流通しないので、引き続き各国のワクチン開発の動向にも注目していきたい。
出所:株式会社クイック
2次補正日本国債増発懸念
先週14日、安倍首相は新型コロナウィルス感染拡大の追加支援の為、2次補正予算の編成を政府・与党に支持した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020051400707&g=pol
追加支援は①雇用調整助成金引き上げ、②雇用されている者が直接受け取れる制度創設、③大企業から中小企業まで資金繰り支援の更なる充実、④資本性資金を投入することも可能にする、⑤家賃負担軽減の負担金創設、⑥感染防止対策を行う小規模事業者などに最大150万円の補助金、⑦臨時交付金を拡充すること、としている。
11日の時事通信によると、予算のうち3-4兆円程度を予備費として2次補正は財政支出を5-10兆円とする案で調整しているとのことだった。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020051100631&g=pol
しかし、本日のニューズウィークの記事によると、2次補正予算では13−14兆円を確保したいという声が上がっているという。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2020/05/2132.php
上記の①と②で1兆円程度、③は6兆円程度、④は1兆円程度、⑤は2兆円程度、⑥は2兆円程度、⑦1兆円程度とざっくり見積もって、予備費も鑑みると、ニューズウィークの報道よりも増える可能性もあるか。
参議院予算委員会理事を務める三宅議員がFACTAに書いているが、ドタバタで3次補正を組まなくても良い様に、2次補正で十分な予備費(予期せぬ予算に対応するための予算)を計上するべきという意見が強く、多めに予算を準備しておきたいということだ。
https://facta.co.jp/article/202005049.html
「前倒し」と呼ばれる財務省が会計年度よりも前に余分に発行してきた日本国債で調達した貯金があるものの、多くは日本国債発行で賄われると思われる。(1次補正では3兆円を前倒しから)
足元の円金利市場は国債発行増懸念から金利上昇期待(特に超長期)が高まっているが、1次補正同様に、日銀が買い入れを選好している-10年までの発行が中心になると思われる。
PCR検査は増やさないでいい?
日本はPCR検査数が少ないという批判が多い。
実際、著者自身も、検査陽性者を隔離すれば感染数も減るだろうし、なにより一個人が感染を防ごうという意識が強まるので、PCR検査を抜き打ちでも何でも増やすべきだ、と思っていた。
しかし、それは素人目線だと考えさせられたのが東洋経済社の記事で、ウィルス専門の西村医学博士がいらずらにPCR検査を増やすことの問題点を提起している。
PCR検査技師不足といった日本の医療インフラ事情や、海外と比較して肺炎死亡者が増えていない日本において医療崩壊リスクと天秤にかけるとPCR検査で陽性患者を増やすことのメリットに見合わなそう(過剰解釈かもしれないが・・・)という主張は興味深い。
https://toyokeizai.net/articles/-/349635
2月の専門家会議の時点では、限られたPCR検査の資源は重症化の恐れがある患者のために集中させる必要があり、感染症を予防する観点からは多くの人にPCR検査をすることは有効ではない、という西村博士の意見に近い考えだった。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00006.html
5月4日の専門家会議ではPCR検査が諸外国と比べて少ないことに関して評価がされており、陽性率の低さや死亡者数の少なさから、日本のPCR検査不足による潜在的感染者を捕捉出来ていないという指摘は否定したものの、PCR検査拡充とPCR検査を補完する迅速抗原診断を増やすことが総意になっていることが分かる。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000629000.pdf
5月13日に新型コロナウィルスの抗原検査キット「エスプラインSARS-CoV-2」が厚生労働省に承認され、陽性一致率は約8割程度とPCR検査よりも低いが、厚生労働省のガイドラインによると陽性判断は確定診断とされる。
https://www.mhlw.go.jp/content/000630270.pdf
偽陽性判定リスクを認識しており、症状のない患者に対しての検査に適さないとしており、いたずらに検査が実施されることはないと思われるが、偽陽性患者が増加しないことを願う。
著者の個人的な意見として、海外ほど感染被害が広がっていない中、足元の日本の新型コロナウィルス対策はあまりに諸外国の模倣感が強く過剰であり、経済被害を犠牲にし過ぎていると考える。
国益を考えると、日本の目下の目標は新規陽性患者数を減らして、一刻も早い経済活動再開を成し遂げることである。
上記の西村博士が記事で述べられているように、「皆がマスクをしている状況なら怖いことは何もない」「コロナウィルスを細菌のように語る間違った情報が拡散して変な方向で”恐れすぎ”が跋扈している」という意見に強く賛同する。
本日の東京の新規感染者数は14人、21日の専門家会議に向けて14日以降の東京の新規感染者数は53人で、緊急事態宣言解除の目安にはあと4日で17人に抑える必要。
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/en/cards/number-of-confirmed-cases
東京モデル発表
東京都は新型コロナウィルスの外出自粛や休業要請の解除・緩和に向けたロードマップ(骨格)の概要を公表。
https://www.youtube.com/watch?v=gT1lVh0neCE&feature=share
緩和の目安は「新規感染者が一日あたり20人未満」「感染経路不明が50%未満」「週単位の陽性者増加比が1未満」「重症患者数」「入院患者数」「PCR検査の陽性率」「受信相談件数」の7項目の目安を盛り込み、検討を重ねて、来週中にロードマップが策定・公表される方針とのこと。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-15/QACO6HT1UM1G01
新規感染者という観点では、緊急事態宣言の解除目安とされる過去1週間での新規感染者数が10万人当たり0.5人以下よりは緩く、一週間の新規感染者は140人未満に抑えられれば良いことになる。
東京の新規感染者は昨日30人、本日9人なので、緊急事態宣言解除の目安をクリアするにはあと5日で31人に抑える必要があるが、現時点程度の新規感染者数が維持されれば、緊急事態宣言が解除されずとも月末を待たずに東京都としての自粛緩和の可能性もあろう。
緩和は三段階で、(1)博物館や美術館、図書館のような公共施設を再開、(2)劇場などクラスター歴がなく三密が重なりにくい施設の緩和、飲食店の営業時間短縮を一部緩和、(3)ライブハウスや接待を伴う飲食店など高リスクとされる施設を除いた施設全てを再開、の順で進められる。
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020051501002020.html
自粛解除が早まったとしても、極めて緩やかな経済活動再開になることが予想され、残念ながら然程経済にポジティブな材料にはならなそうだ。
#StayHome until the 21st
特定警戒5県含む39県の緊急事態宣言解除へ
報道されてきた通り、34県と特定警戒都道府県の茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、福岡県の緊急事態宣言が解除された。
https://www.asahi.com/articles/ASN5G4GBNN5FUTFK029.html
8都道府県は、まだ緊急事態宣言が解除されないが、安倍総理は可能であれば31日を待たずして緊急事態宣言を解除する考えを示した。
39県の早期経済活動再開で、若干の経済底上げが期待される。
日本の2020年GDP見通しはマイナス成長となる見込みで、労働市場も悪化して来年にかけて失業者が100万人近く増えて失業率が3.5%程度まで上昇すると見られているが、見通しが僅かに上方修正される可能性も。
https://toyokeizai.net/articles/-/334591
来週21日の専門家会議で東京を含む8都道府県の緊急事態宣言解除が議論されることになるが、解除の目安とされる「過去1週間での新規感染者数が10万人当たり0.5人以下とする」には、東京では14日から20日までの新規感染者が70人以下に留められる必要。
本日の東京都新型コロナウィルス新規感染者数は30人で、あと6日で40人に留める必要がある。
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/en/cards/number-of-confirmed-cases
#Stay Home until the 21st
21日にも東京の緊急事態宣言解除か
本日の日経朝刊1面でも既報の通り、明日の専門家会議では、特定警戒地域ではなかった34県と、特定警戒地域の13都道府県のうち茨城、愛知、岐阜、京都、福岡の緊急事態宣言解除が検討される見込み。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58992530S0A510C2MM8000/
大阪府は独自の休業要請解除基準「大阪モデル」を導入してから昨日で5日連続基準をクリアしており、7日連続でクリアすれば外出自粛解除を検討するとしていて最短で15日にも解除へ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200513-08543501-kantelev-l27
また、本日の夕方、日本テレビが21日に東京についても緊急事態宣言解除の判断をする方針と報道した。
https://www.news24.jp/articles/2020/05/13/04642457.html
明日の専門家会議では緊急事態宣言解除の目安も示される見込みで、「過去1週間での新規感染者数が10万人当たり0.5人以下とする」などの目安を検討しているとの報道が出ている。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200513-00000044-kyodonews-pol
この目安であれば、東京都の人口は1400万人程度なので、一週間の新規感染者が70人以下になれば良いということになり、一日あたり10人以下に抑えられれば良いことになる。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/05/11/06.html
昨日時点で、過去一週間の新規感染者は200人なので、緊急事態宣言解除の目安を満たせていないものの、東京都民一丸となって、目先一週間の新規感染者数を徹底して減らしたい。
出所:東京都
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
一刻も早く緊急事態宣言を解除して、早期経済活動再開することが、日本国の国益。
#Out of Home with mask