9月入学導入
9月入学導入を巡って、文部科学省は①2021年9月の入学とする場合に今の学年を5ヶ月間延長して17ヶ月とする案と②5年かけて9月入学に移行する案を検討しているそう。
出所:東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/education/edu_national/CK2020052002000177.html
一斉実施案だと今の一年生世代が急増してしまうことや家計負担が一世代に偏ってしまうということが懸念されているが、新型コロナウィルスで休校になってしまっている期間を生かすという観点からであれば、個人的には一斉実施案が良いと思う。
9月入学導入のメリットとして「(9月入学がスタンダードとなっている他先進国への)留学のしやすさ」や「グローバル人材採用」などがメリットとして挙げられている。
「留学のしやすさ」については、従来の4月入学だと9月入学の海外校に入学や編入するためにギャップタームが生まれてしまうということだが、この点については海外志向のある子供はギャップタームがあろうが留学するし、ない子供はギャップタームがなかろうが留学しない、と個人的に思う。
「グローバル人材確保」という観点では、海外の学生が進学を考える上で日本の大学が選択肢として海外大学と同じ土俵に乗りやすくなり、受け入れ外国人学生数を伸ばすことはあり得るし、日本企業が9月入学制度に採用活動のスケジュールを合わせることによって、海外大学を卒業して日本企業に入りたいという学生の採用増加に繋がるかもしれない。
デメリットとしては5ヶ月間の学習期間が伸びることによる家計負担が大きくなるということが挙げられている(文部科学省の試算だと小中高生で計2兆5千億円、大学の高等教育で1兆4千億円と見積もり)が、長い目で見れば一家族あたりの負担は微々たるものだろう。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59139340V10C20A5CE0000/
企業側も割と前向きな捉え方をしているところが多い様子。
出所:Vistas Adecco(日経BPコンサルティング調べ)
将来、日本の労働人口が減るのは間違えないので、少しでも海外から労働人口を囲い込める契機になるのであれば、9月入学制度は悪くないと個人的に思うのだが、世論からは一定数の反対が見込まれ、それは「生まれ月の格差」を気にする親だろう。
4−8月生まれの子供を持つ親は「生まれ月の格差」で子供がメリットを享受する側から、逆に早生まれの不利な側に回ることになり、子供のことを思うと反対する人もいるだろう。
「生まれ月の格差」は実際に存在しているとされ、日本のプロスポーツ選手は4月生まれが多いことが知られており、(ちょっと古いが)平成14年のJ1所属選手もやはり4月生まれが多く、幼少期の体格差による成功体験が自信となり、スポーツ優等生になると言われている。
http://www.sankei.co.jp/enak/2006/dec/kiji/04lifebirthmonth.html
9月入学が導入されると9月生まれのプロスポーツ選手が多くなるかもしれない。